大槌で生まれ育ち、震災後にひとりで新聞を作りつづけた
菊池由貴子さんの想いが、1冊になりました。
震災でおよそ10人にひとりが犠牲になった大槌町。
町長をはじめ40名の役場職員も亡なったこともあり、
震災直後は町民たちに必要な情報が届きませんでした。
ラジオやテレビニュース、ネットや新聞など、
全メディアが被災地の現状を発信していましたが、
大槌の情報を知ることは困難で、
被災者に必要な情報は限られていたそうです。
私自身も、被災者の声を伝えることはあっても
避難者に必要な情報を届けるという視点は欠けていました。
情報がなく町民の不安が募るなかで
震災翌年から、「大槌新聞」が創刊されました。
取材の経験もない菊池さんが、ひとりで歩いて情報を集め
町民の話に耳を傾けて記事を書き、
他紙を真似て紙面レイアウトを作り、印刷し、発行する。
そこまでひとりで行うことも大変ですが、
彼女のすごい所は、その後です。
自分で歩き続けて新聞を町民に無料配布し、
タブロイド版を町内全戸約5100世帯に配っていたのです。
震災から10年間に、なんと385号も発行し、
ボランティアなどの助けを借りながら、
仮設住宅や復興住宅などに配り続けていたのです。
震災前は、生まれ育った町に何の関心も持たず、
病気や離婚を繰り返した、本人曰く「負け組の人生」だったそうです。
そんな菊池さんの奮闘記、
『わたしは「ひとり新聞社」』
https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=1080
おすすめの本です。
一般社団法人大槌新聞社